2026年4月8日、食文化産業研究会主催イベント「食文化産業の振興に向けた施策提言 概略版 ~食文化で産業を興し、日本の稼ぎの柱に~」が開催され、FLYING FOODS代表・金子が登壇しました。
当日は、経済産業省と農林水産省の「Team2050 食文化産業振興政策チーム」協力のもと、食文化産業政策に関心を持つ約50名が招待され、行政・事業者・食の担い手が交わる対話の場となりました。金子は、ミシュラン東京2026セレクテッド掲載店「VERT」のシェフ・田中俊大氏、司会のOISSY代表取締役・鈴木隆一氏とともに、「店舗での感動体験をどう再現するか」をテーマにトークセッション。
さらに試食会では、FLYING FOODSから発売予定で現在開発中の「八女伝統本玉露を使ったテリーヌショコラ」も提供。生産地の価値をどう届け、食体験として昇華させるか。FLYING FOODSが取り組んできたテーマを、味覚とともに体験いただく機会となりました。
食文化を“産業”として育てる官民連携プロジェクト「Team2050」

今回のイベントで協力いただいた「Team2050 食文化産業振興政策チーム」は、経済産業省と農林水産省が連携し、日本の食に関する技術・サービス・空間などの「食文化」を成長産業として育てることを目指す取り組みです。
背景にあるのは、日本の食文化が持つ潜在価値への期待。地域に根ざした食材、技術、ストーリーを国内外に展開し、輸出や観光、地域経済の活性化につなげていく。このように産業政策として日本の食文化を再定義しようとしています。
イベントでは施策提言として、食文化を日本の「稼ぐ力」の柱の一つに育てていく方向性が示されました。こうした議論は、FLYING FOODSが取り組んできた「地方の生産者と消費者を繋げ、小規模生産者の課題を解決する」という思想とも深く重なります。
テーマは「店舗での感動体験をどう再現するか」
金子が登壇したトークセッションでは、飲食店で生まれる感動や発見を、商品としてどのように消費者へ届けられるかが議論されました。
FLYING FOODS代表・金子と田中俊大氏(VERT シェフ)、鈴木隆一氏(OISSY 代表取締役)
FLYING FOODSが消費者に提供しているのは、単なる「お取り寄せ」ではありません。土地に根ざした素材やつくり手の背景ごとお届けしています。味そのものだけでなく、風土や技術、そこに宿る物語まで含めて体験として設計することで、食が単なる消費ではなく、記憶に残る価値になると考えています。
セッションでは、そうした考え方のもとで取り組んできた事業についても紹介しました。
地方の小規模生産者とともに、その土地にしかない素材を見つめ直し、新たな文脈を与えながら商品として届けていくこと。それは商品開発であると同時に、埋もれがちな価値を社会にひらいていく試みでもあります。
小規模生産者と一流シェフとつくる、高付加価値商品の可能性
現在、FLYING FOODSでは、地方の小規模生産者と全国で活躍する約15名のシェフとともに、高付加価値商品の企画・製造・販売に取り組んでいます。

その背景にあるのは、小規模生産だからこそ発揮できる価値の再定義です。こだわりのある栽培方法や、その土地でしか育たない原種。そうした価値の多くは、十分に評価されないまま流通のなかで埋もれてしまうことも少なくありません。
「小規模生産者の方々は平均年収が200万円しかないという状況です。従って、たくさん作ってたくさん売ろうと思っても、そもそも地方に買い手が来てくれないという問題があります。かと言って価値をつけて高く売ろうとしても、生産者の方々は価値のつけ方がわからない。また『そんなに高く買ってくれる人がどこにいるの?』と思ってしまっている状況です」と、金子は小規模生産者の現状を説明。
FLYING FOODSは、そうした生産者本人でさえ気づいていない価値に新たな光を当て、適切な価格と物語をまとった商品として届けることで、生産者と消費者をつなぎ直そうとしています。
宮古島産マンゴーのブランド化を起点に、全国各地の素材と向き合いながら進めてきた商品開発も、その延長線上にあります。
目指しているのは、単なる販路支援ではなく、価値の再編集を通じて、生産が続いていく理由をつくること。それは結果として、生産者の収益性改善だけでなく、担い手や承継の課題、そして食の多様性を未来につなぐことにも通じていくと考えています。
今回のイベントで議論された「食文化を産業として育てる」という視点と共通した考え方です。
試食提供した「八女伝統本玉露を使ったテリーヌショコラ」に込めた想い
イベントで提供した「八女伝統本玉露を使ったテリーヌショコラ」は、そうした思想をかたちにした現在開発中の商品として紹介しました。

福岡県南部の八女市で丁寧に育てられた八女伝統本玉露を、スイーツという新たな表現に翻訳した一品です。手掛けたのは、東京・神楽坂の日本茶を織り交ぜたデザートコース専門店「VERT」のシェフ田中俊大氏。

目指したのは、素材を加工することではなく、その価値を別のかたちで伝えること。地域の素材が持つ奥行きや余韻を、感動のある食体験として届けます。
田中氏は、「私たちは素材ありきの仕事だからこそ、生産者への敬意がすべての起点になる」とも語りました。この思想は、FLYING FOODSのものづくりの根幹でもあります。
試食の時間では、議論してきたテーマを参加者の皆さまに味覚を通じて体感いただく場にもなりました。
食文化を未来につなぐために
今回の食文化産業研究会イベントへの登壇は、私たちにとって事業紹介の場である以上に、現場で積み重ねてきた実践を、食文化の未来を考える議論へ接続する機会でした。
地方に眠る価値が、きちんと届くこと。つくり手の営みが、次の世代へつながっていくこと。食文化を、育てる対象として捉え直すこと。
FLYING FOODSはこれからも、生産者への敬意を起点に、食文化の価値を磨き、届ける挑戦を続けていきます。
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〈登壇概要〉
「食文化産業の振興に向けた施策提言 概略版 ~食文化で産業を興し、日本の稼ぎの柱に~」
・主催:食文化産業研究会
・ご協力:経産省×農水省「Team2050 食文化産業振興政策チーム」
・セッションテーマ:「店舗での感動体験をどう再現するか&試食会」
・開催日:2026年4月8日
・開催場所:経済産業省 別館7F 「ベツナナ」
・登壇者:田中俊大氏(VERT シェフ/ミシュラン東京2026セレクテッド)、金子史人(空とぶネコ合同会社/FLYING FOODS 代表)、鈴木隆一氏(OISSY 代表取締役/司会)